ニナイテカレッジの「我がまちのいいとこ探し」という魅力的なタイトルに誘われて秋の散歩に参加。
古道と郷愁、期待感が織り成す約2時間の時空を超えた物語に触れていく(コースの詳細は地図を参照してください)。
あいにく、いまにも雨が降りそうな空模様。それにくらべて参加者の表情は生き生き。歩き慣れている様子でリラックスしている。
バス停、神台。戦国時代に陣を張ったところから陣台ともいわれ、近くに陣馬の地名もある。三浦氏と北条氏の戦を浮かび上がらせる。高梨農場切通しは、今や草や木に覆われているが、地形から当時の道であった痕跡がうかがわれる。
道標(力士の墓標)から折れた住宅街への鎌倉古道は、鎌倉時代から脈々と続く、人や物資が往来した生活道としての息遣いも聞こえてくる。馬場なる地名から馬が日常的な存在として、野を疾走していたのかもしれない。
初声中学校近くの道端には、昭和に行われた圃場整備を記念した碑が立てられ、このあたりは条理の道として整然としている。広がる畑。以前は田んぼが存在していたが、いまではその面影は偲べない。しかし、谷戸という地名が近くに残っているところから、田んぼがあったことは想像できる。その田んぼを復活しようと、自動車道から少し入った土地を購入した所有者さんの心意気に胸を打たれる。
最後に交差する条理の道の一角に、和紙の原料となる楮の木が植えられている。2019年に発足した三浦手漉き和紙を考える会の活動拠点で、今年8月に三浦手漉き和紙が15の工程を経て作られ、9月には初声小学校に楮の木が植えられた。新たな取り組みが、明日への夢をふくらませている。
鎌倉時代から近未来まで思いをはせる“いいとこ探し”の小さな旅。道を歩くことは、歴史を行ったり来たり。切り取った秋の風景が、こころのアルバムになって刻まれていく。
刈り取られた稲の田んぼの中のはさがけと、後背の色づいた柿がたわわに実る柿の木を望む風景はまさに日本の原風景。どこか、なつかしい心の古里へと引き込まれていく。
※国土地理院の地図を使って作成しています。
※中世三浦歴史探検隊アダチさん提供
投稿日:2022年11月4日
市民記者:赤とんぼ