おんべの火祭り


年始早々の15日、三崎港の船着場で西海上区の「おんべの火祭り」の神事が挙行されました。

他の地区で「おんべ焼き」とか「左義長」と呼ばれる正月飾りをお焚き上げ神事は通常、松が取れた8日とか小正月の15日辺りに行われますが、三崎下町では何故か毎年5日に行われます。その昔、三崎の街が遠洋漁業景気で華やかだった頃は、子どもたちが料亭などの立派な正月飾りを無断で持ってきてしまい、大騒ぎになったことが度々あったそうです。

また古老の話では昔は大きな竹飾りがたくさんあったそうで、西海上区の子どもたちはそれを海南神社の境内に持ち込んで小屋を作って「お籠り」と称して餅を焼いて食べたりしながら泊まり込みで遊んだといいます。

おんべの火祭りは、その年の「年神様(歳徳神)」がいらっしゃる方角(恵方)に煮魚、ご飯、味噌汁を供え、海南神社宮司が今年の町内の無事を祈った後に山に積んだ正月飾りや前年の「縁起物」に火をつけます。この火で焼いた餅を食べると一年間、無病息災でいられるとの言い伝えがあります。

過疎化も進行し、正月飾りや縁起物の量も参列者の数も年々少なくなるばかりで、下町でもこの行事を行う区が少なくなるばかりですが、古くからの伝統行事は出来るだけ残していければと思います。  (お祭りおじさん)