今回のインタビューは、NPO法人 日本渚の美術協会 会長 本間清さんです。
インタビュアーは三浦市のインターンシップに参加された、東京大学文学部4年 西原凜さんがつとめてくださいました。
日本渚の美術協会さんは、貝殻やゴミなどの海岸の漂着物を収集し、それを材料として芸術作品(シーボーンアート)にすることで、海洋環境の保全や美化活動、アート創作を行う団体です。本間さんを中心として、ビーチクリーン(拾う)~工作教室(作る)~シーボーンアート展(見せる)の一連の活動を行うことで、海に対する優しい思いやりの心を育んでいます。
このシーボーンアート活動の起源は三浦市の和田長浜海岸にあり、そして今月10日まで漂着物アートと海洋環境の美化啓発を行うミュージアムを作るためのクラウドファンディングを行っていたこともあり、非常に三浦市ともかかわりの深い団体さんです。今回はなぜ三浦市にソーボーンアートのミュージアムを設立しようと思ったのか、また、今後の活動なども伺いました。
- シーボーンアートを創作する活動が、三浦市と関わりを持つようになったきっかけは何でしょうか?
幼いころ、母の実家が横須賀にあり、親族と海岸沿いを渡り歩いて遊んでいたため、三浦市の海岸は慣れ親しんでいます。
大学時代からスキューバダイビングを行っていくなかで海の汚れが気になり始めたのが最初のきっかけで、和田長浜の海岸で美化活動、アート作品になりそうなものを拾い集めて見せる活動をはじめました。
- なぜ、シーボーンアートのミュージアムを建設したいと思ったのですか?
シーボーンアートを常時見せる場所がなかなかないからです。
今までは、当団体のクライアントのオフィスのエントランス、近隣の水族館で期間限定のシーボーンアート展を行っていました。しかし、シーボーンアートを単なる見世物として見せるだけでなく、シーボーンアートを活用して、海洋美化の必要性を海洋環境の現状を知らない人に向けて啓発していくには、情報発信のための常設展示室が欲しい。「移住するヤドカリから定住できるイソギンチャクへ」ということで、現在はそのような場づくりを目指しています。
この活動は持続可能な開発目標(SDGs)の中の14番の項目「海をきれいに」ともかかわりが深く、われわれの活動の社会貢献性も併せて伝えていければと思います。
- ミュージアムの設立の舞台になぜ三浦市を選ばれたのですか?
我々の活動は三浦市を中心に、全国13拠点で展開しています。海洋環境の汚染という問題は、三浦市という地域にとどまらない、地球規模の問題なのです。
そのことを前提にお話すると、海の中は、最終的に山や川から来たゴミが溜まっていく場所なので、そのゴミを直接減らしていくのは難しいです。つまりは、ゴミを捨てない仲間を増やしていくことが重要だと考えています。
海のそばに住んでいる人は、海洋環境の汚染という現状の課題を知っている人が多いと思います。一方で、山間部や街中の人は、観光でやってきた際に海洋環境を汚してしまうことが多いと思います。その意味で、町や山に向けて、和田長浜海岸というきれいな砂浜から、情報発信していく活動の総本山にしたいということで、三浦市を舞台に考えています。ひいては、このミュージアムを人が集まる場となることで、地域活性化にも貢献できればと思います。
インタビュー 2021/9 東京大学文学部4年 西原凜