子どもたちが本に親しむ観光バスの移動図書館

 今回のインタビューは、神奈川県の企業・NPO・大学パートナーシップ支援事業の中で三浦市の事例として紹介された「子どもたちが本に親しむ観光バスの移動図書館」を運営されている、株式会社三浦観光バス 根岸 辰也 さんにお話を伺いました!

 

神奈川県の企業・NPO・大学 協働・連携事例集2020:https://www.pref.kanagawa.jp/documents/7929/2020jireisyu.pdf

パートナーシップ支援事業とは:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/md5/cnt/f6188/index.html

- 「子どもたちが本に親しむ観光バスの移動図書館」の活動について教えてください。

 

 2019年2月より、三浦海岸駅近くの三浦観光バス駐車場内にて毎月1回、開催しています。

 イベント名の“え”ほん ふれあい ていりゅうじょの“え”には「笑」顔と「絵」本をかけており、このふたつが集まる停留所という意味を込めています。

 三浦市には図書館が少なく、子どもたちに絵本に出会う機会をと考え、移動図書館を運営している「うみとやまのこどもとしょかん」協力のもと、弊社、三浦観光バスと合同で実施しているイベントです。

 たくさんの絵本や児童書が積まれた「うみやま号」から楽しく読みたい「わいわい号」と静かに読みたい「よむよむ号」に分かれ、思い思いに絵本とふれあっていただきます。

 バスの車内では、読書はもちろんのこと、数回の開催時間を設けた人気の読み聞かせ、さらにはキッチンカーなどの飲食ブースもあり、子どもから大人までどなたでも楽しんでいただける停留所を目指して活動しています。

 現在は、新型コロナウイルスでイベントは自粛をしておりますが、再開時にはスケジュールを随時更新いたしますので、ぜひホームページやSNSなどをご覧いただけますと幸いです。

 

HP:https://ehon.localinfo.jp/

SNS:https://www.facebook.com/buslibrary

-  マッチング事業に関わろうと考えたきっかけはどのようなことですか?

 

 貸切バス事業を行っていくうえで、閑散期などはどうしても運行がない日も出てきてしまいます。空いている車両をどうにか利活用できないか、と考えたのが、マッチング事業への第一歩であったと感じています。

 私たちだけではできないことを、それぞれの得意な領域を掛け合わせて、新たな何かを生みだす。そんな魅力がマッチング事業にはあると感じていましたし、また実際に運営をしてみて、それが確かなものであると強く実感しました。


 -  どんなところにやりがいを感じられていますか?

 

 現在は、新型コロナウイルスによって活動を制限されておりますが、最もやりがいを感じる瞬間は、毎月来てくださるお客様がいらっしゃったり、来月はいつ?と聞いてくださったりと、この活動を楽しみにしてくださる方がいるということです。

 また、このコミュニティを通じて子供だけではなく、親同士が繋がるなど交流と出逢いの場となっていることです。

 地域に「居心地の良い場所」があるということは非常に重要であると考えており、その一助になっていけるような活動が出来たら嬉しいですし、またそのような場づくりを目指していきたいと考えております。


-  このコロナ禍での活動で困った(困っている)こと、新しく活動を変えたことなどありますか?

 

 最も痛感しているのは、継続的に活動することの難しさです。活動すること自体が正義ではなく、皆が健康に楽しく過ごせることが重要ですので、中止の判断をするのは非常に心苦しいのですが、リスクマネジメントには細心の注意を払っています。

 とは言え、実際に実行してみないと新たな発見も成長もないので、県内の感染者数などの状況を鑑みての判断にはなりますが、読み聞かせなどは行わず、人数を制限しての実施などにも挑戦しました。

 これからも、新しい生活様式に順じ様々な角度からの挑戦を試み、地域に求められる活動をしていけたらと考えています。

-  「子どもたちが本に親しむ観光バスの移動図書館」を運営していて印象に残っていること、エピソードなどありますか?

 

 このイベントでは絵本だけでなく、大人向けの小説やビジネス書など寄贈された本も取り扱っており、その本の売り上げが「うみとやまのこどもとしょかん」の活動資金にもなっています。

 先月1冊買ってくださった方が、今月はそれを寄付してもう1冊買ってくださったり、大量の本を寄贈してくださったりと、一見、子どもと絵本にフォーカスされがちではありますが、地域の大人たちの支えがあって活動が成り立っていることを強く感じます。

 時代の変化と共に、書店なども減っている中、実際に絵本を手に取って選ぶことも少なくなっているのではないかと思いますので、年齢に関係なく、「本」を中心に広がるコミュニティはまだまだ面白い出来事が起きそうだといつもワクワクしています。


-  三浦市民交流センターで今後、やってみたいことなどありますか?

 

 現在は弊社の小さな駐車場で実施をしているので、ご参加いただける方にも限度があり、また場所も固定されているので、まだまだ広がりがあると思っています。

 この活動は「本を用いたコミュニティが移動する」というところに面白さがあると思いますので、必ずしもバスでなくとも良いと思っています。よって、三浦市民交流センターをはじめ、様々な場所でこのコミュニティを広げ、繋がっていけたら良いと考えています。

 もしも三浦市民交流センターで実施ができる場合は、小網代の森のフィールドワークなども連動し、生物や自然にまつわる絵本や図鑑などとふれあってみるもの面白いのではないかと思っています。


-  三浦市内の皆さんに向けて、PRしたいこと、メッセージをどうぞ!

 

 貸切バスという「移動スペース」とたくさんの絵本を積んだ「移動図書館」は、サーカスのようにどこであっても開催できる可能性を秘めています。

 ぜひ皆さんの地域にも「移動図書館が欲しい!」という方がいらっしゃいましたらどうぞお気軽にお声がけください。皆で楽しい町づくりをしていけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。

 

 

 

2021年7月20日